【よくある質問】発達障害って甘えなの?脳の特性なので甘えではありません!

発達障害がどういうものなのか理解しにくいため、発達障害の人が苦手とすることを、それは甘えだ、努力が足りないからだ、と思う人も少なくないようです。

 

しかし、発達障害は決して甘えではありません。脳の発達がアンバランスなため、脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、人より苦手なことがあるのです。

 

発達障害は、主に3つのタイプに分類されています。今回の記事では、タイプ別にそれぞれの脳が持つ特性について、取り上げたいと思います。(症状には個人差があり、すべての症状が表れるとは限らず、程度にも差があります。また、他のタイプを併せ持つ場合もあります。)

 

 

◯自閉症スペクトラム障害(ASD)の人たちが持つ脳の特性

 

ASDにはコミュニケーションが苦手、こだわりが強いといった特徴があります。

 

相手や状況に自分の行動を合わせることが苦手だったり、柔軟な考え方をすることが苦手だったりします。会話ではオウム返ししたり、単語で会話したり、一方的に話をしたりすることがあります。

 

暗黙のルールが理解できず、集団での協同作業に困難を示したりします。

 

職場の音や照明に過剰に敏感だったり、鈍かったりします。同じ服をいつも着たり、同じ順番での作業にこだわったりと、特定の物事への執着が強いです。2つの動作が同時にできなかったりします。」

 

参照:「大人の発達障害による困りごとって何?症状や特徴とともに説明します」

 

コミュニケーション面では、あいまいな表現が分からないという困りごとも出てきます。
例えば、「10時までに仕事を始められるようにしてください。」という伝え方では、意味が伝わらないことがあります。

 

具体的に、「9時45分には職場に到着し、50分には制服に着替え、55分には持ち場に行くようにしてください。」というようにお願いするといいかもしれません。
はっきり、具体的にお願いすることが大切です。

 

発達ではない人からすると当たり前に思えることができなかったりするため、周囲の人は戸惑うかもしれません。そして、なぜできないのか、甘えではないのか、態度が悪いのではないか、などと思うかもしれません。しかし、これらはASDの人が生まれ持った脳の特性によるもので、努力不足や甘えなどではありません。

 

当事者や身近な人ができないことを伝えること、周囲の人はそれに理解を示し、何か工夫ができないか共に考えることによって、働きやすい環境づくりができるかもしれません。

 

 

◯注意欠如・多動性障害(ADHD)の人たちが持つ脳の特性

 

ADHDは不注意・多動性・衝動性を特徴とする障害で、その表れ方には個人差があります。

 

「ケアレスミスが多かったり、物事に集中することが苦手だったり、逆にやりたいことや好きなことに集中しすぎてしまったりします。

忘れ物やなくし物が多く、片付けや整理整頓が苦手だったり、約束や時間を守れなかったりします。

 

物事の優先順位が分からなかったり、指示やルールを守ることを嫌がったり、言い訳をしてしまったりします。

落ち着いてじっと座っていることが苦手だったり、衝動的に不適切な発言や行動をしたりします。」

 

参照:「大人の発達障害による困りごとって何?症状や特徴とともに説明します」

 

職場では、毎日ミスを繰り返すといったことが見られることがあります。発注の数量を間違えてしまい、上司がクレーム処理に追われるといったことが起こり得ます。本人も間違わないように気をつけているのに、どうしてもミスしてしまい迷惑をかけてしまうので、ストレスがたまってしまうという悪循環に陥ることがあります。

こういった場合、その人に合った部署で働いてもらう、周りがサポートするなどの対策で働きやすくなるかもしれません。

 

このようなADHDの特性を目にすると、周囲の人は集中する努力が足りないのではないか、わがままなのではないか、などと思うかもしれません。

 

しかしこれらは脳の特性によるもので、努力が足りなかったり、わがままだったりということではありません。ADHDでは、神経伝達物質の量が不足していることが分かっています。ADHDは、神経伝達物質の量を増やす治療薬が処方されることもある、脳の機能不全です。

 

本人も、なぜ自分の行動が迷惑になっているのか分からず、苦しむことがあるようです。当事者の集中を妨げる刺激をできるだけ周囲からなくし、本人の自尊心を低下させることを防ぐ、といった工夫もできるかもしれません。

 

 

◯学習障害(LD)の人たちが持つ脳の特性

 

LDは、知的発達に遅れはありません。聴覚•視覚機能にも問題がないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算•推論する」ことが、極端に苦手という症状があります。症状の表れ方には、個人差があります。

 

「「読む」ことにおいては、音読の速度が遅かったり、一文字ずつ区切って読んだりします。

文字や、行を飛ばして読んだりします。

「ろ」や「る」など、形の似ている文字を、見分けることが難しかったりします。

聞き間違えが、多かったりします。

 

「書く」ことにおいては、文字に興味を示さなかったり、ひらがなで書けない文字があったりします。カタカナを習得するのが難しかったり、漢字をなかなか覚えられなかったり、覚えても忘れやすかったりします。

 

 

「算数・推論する」ことにおいては、数を数えるのが苦手だったり、時計が読めなくて時間が分からなかったりします。算数の簡単な一桁の足し算や引き算の計算ができなかったり、九九がなかなか覚えられなかったりします。図形や立体の問題が苦手だったりします。

 

 

参照:「大人の発達障害による困りごとって何?症状や特徴とともに説明します」

 

 

これらの症状が脳の特性であることを知らないと、周りや本人も、努力不足や甘えなどと思ってしまうかもしれません。授業についていけなくなり、不登校になってしまうケースもあるそうです。

 

 

これらの症状は脳の特性によるものなので、専門家に助けを求めることが大切です。親や教師など、身近な人たちが情報を共有し、支援することも重要です。

 

社会人になり仕事を始めると、メモをとることができなかったり、資料を読むのに時間がかかってしまったり、資料を読む時に飛ばし読みをしてしまったり、計算が苦手だったりという困りごとが出てきます。

 

 

これらも脳の特性と受け止め、メモをとる代わりに録音する、資料はマーカーなどを使って読みやすくする、計算は電卓を使う、などの工夫ができるかもしれません。

 

まとめ

このように、発達障害の人たちには、多様な生まれつき苦手なことがあります。発達障害ではない人でも、上記にあげたようなことが、少し苦手という人はいます。そのため、発達障害の人たちを理解することが難しく、みんな苦手なことはある、もっと頑張ればできるのではないか、甘えではないかと誤解されてしまうことがあります。

 

 

しかし、発達障害は脳の特性によるもので、甘えではありません。脳に生まれつきの違いがあれば、できることに違いがあるのは当然のことではないでしょうか。発達障害への理解を深め、相互が協力しあって生きやすい世の中になるといいですね。

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