【徹底比較】統合失調症とアスペルガーって違うの?症状別に解説!
統合失調症の症状とアスペルガーの症状は似ている点があるものの、両者は異なる疾患だと言われています。統合失調症とアスペルガーの違いは2つあります。1つ目は『症状が確認される時期(発症の時期)が違うこと』、それから2つ目は『幻覚や妄想の特徴が違うこと』です。
統合失調症とアスペルガーとはどんな疾患か、両者の似ている点について、両者の異なる点について詳しくご紹介します。
もくじ
統合失調症の特徴は?統合失調症の方に現れる3つの症状について
統合失調症は精神疾患の1つで、日本人の100人に1人が患っていると言われています。統合失調症には下記のような特徴があります。
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。
引用:統合失調症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
上記より統合失調症になってしまうと、大きく分けて3つの症状が現れることがわかります。
1つ目は、『幻覚や妄想』の症状です。自分自身にとって良くない内容、気分や気持ちに影響を及ぼす内容の『幻覚や妄想』の症状が現れます。そのため統合失調症の方は、幻覚や妄想で苦しい思いをしてしまうケースが少なくありません。
それから2つ目の症状は、『生活の障害』があることです。会話や行動に一体感や統一感がなくなること、不安な気持ちや緊張感が続いてしまうこと、感情表現がうまくいかないこと、他者の感情を理解できなくなってしまうこと、無気力な状態が続いてしまうことなど生活に対する様々な障害があることが特徴です。その結果、日常生活や社会生活に影響が出てしまう方は少なくないと言われています。
続いて3つ目の症状は、『病気に対する認識の障害』があることです。自分が病気だということ、自分の症状は病気が原因だということに気づけなくなってしまいます。そのため統合失調症の方は、幻覚や妄想、生活の障害が病気によるものだと気付けず苦しい思いをしてしまいます。
まとめると統合失調症になってしまった場合、前述した通り『幻覚や妄想』『生活の障害』『病気に対する認識の障害』の3つの症状がみられます。
参考文献:統合失調症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
アスペルガーの特徴は?アスペルガーの方に現れる2つの症状について
アスペルガーは発達障害の1つです。4,000人に1人が該当すると言われています。アスペルガーには下記のような特徴があります。
アスペルガー症候群は、広い意味での「自閉症」のひとつのタイプです。最初に症例を報告したハンス・アスペルガーというオーストリアの小児科医の名前にちなんでつけられました。アスペルガー症候群は、自閉症の3つの特徴のうち「対人関係の障害」と「パターン化した興味や活動」の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。
引用:アスペルガー症候群について | e-ヘルスネット(厚生労働省)
上記よりアスペルガーの方には大きくわけて2つの症状がみられることがわかります。
1つ目は『対人関係の障害』があることです。アスペルガーの方はコミュニケーションに関して問題が見られないものの、皮肉や冗談が通じにくいこと、独特な表情や表現の仕方があること、社会的なルールを理解しにくいことなどから対人関係に障害があることが特徴です。
それから、アスペルガーの方にみられる症状の2つ目として、『パターン化した興味や活動』がみられることがあげられます。極端に興味や感覚が偏っていて活動がパターン化していること、こだわりが強いので独特のルールや習慣を変えられず融通が利かないことなどの症状があることが特徴です。
また、2つの特徴以外にも動きがぎこちないこと、身体の使い方が不器用なことなどの特徴もあると言われています。
参考文献:アスペルガー症候群について | e-ヘルスネット(厚生労働省)
参考文献:アスペルガー症候群の症状―コミュニケーションなどが苦手な発達障害 | メディカルノート
統合失調症とアスペルガーが似ている点と異なる点について
統合失調症とアスペルガーが似ていると言われる点は、2つあります。
1つ目は『対人関係がうまくいかなくなること』です。前述した通り、統合失調症の方もアスペルガーの方も対人関係に障害があると言われています。そのため両者は似ていると言われるのです。
続いて、似ている点の2つ目は『幻覚や妄想のような症状が確認されること』です。前述した通り、統合失調症の方は幻覚や妄想に苦しむ方が少なくありません。そして、アスペルガーの方は興味や行動が偏っていること、こだわりが強く自分の独特の世界があることなどからその様子が幻覚や妄想を目の当たりにしているように見えてしまうと言われています。そのため、両者は似ていると言われているのです。
続いて、統合失調症とアスペルガーの違いを2つご紹介します。まず1つ目は『症状が確認される時期が違うこと』です。
発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動性障害)などがありますが、いずれも基本的には幼少期から症状がみられます。
一方、統合失調症は思春期以降に、それ以前にはみられなかった統合失調症に特徴的な症状が現れます。
引用文献:統合失調症の原因・検査・診断-発達障害との違いとは | メディカルノート
上記より発達障害の1つであるアスペルガーの症状は幼少期から確認され、統合失調症の症状は思春期以降から確認されることがわかります。
それから、統合失調症とアスペルガーの2つ目の違いは『アスペルガーの方は、統合失調症の方に見られる典型的な幻覚や妄想の症状は見られないということ』です。
発達障害では、統合失調症の典型的な幻覚や妄想はみられない
発達障害で幻覚や妄想がみられることもないとはいえませんが、一過性のことが多く、統合失調症のように持続することはありません。
引用文献:統合失調症の原因・検査・診断-発達障害との違いとは | メディカルノート
上記より発達障害の1つであるアスペルガーの方は、統合失調症の方のように持続するような幻覚や妄想の症状はみられないことがわかります。また、アスペルガーの方は独特な世界観を持つために幻覚や妄想がみられると言われがちですが、実際には幻覚や妄想の症状はみられず、仮にみられたとしてもずっと続くわけではないことがわかります。
参考文献:アスペルガー症候群と統合失調症 – 公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院
参考文献:統合失調症の原因・検査・診断-発達障害との違いとは | メディカルノート
まとめ
ご紹介した通り、統合失調症の症状とアスペルガーの症状は似ている点があるものの、異なる疾患であることがわかります。統合失調症とアスペルガーの違いは『症状が確認される時期(発症の時期)が違うこと』、『幻覚や妄想の特徴が違うこと』です。
周囲に統合失調症の方やアスペルガーの方がいらっしゃりお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
参考文献:統合失調症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
参考文献:アスペルガー症候群について | e-ヘルスネット(厚生労働省)
参考文献:アスペルガー症候群の症状―コミュニケーションなどが苦手な発達障害 | メディカルノート
参考文献:アスペルガー症候群と統合失調症 – 公益財団法人 住吉偕成会 住吉病院
参考文献:統合失調症の原因・検査・診断-発達障害との違いとは | メディカルノート
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