【徹底解説】知的障害と発達障害はどう違う?特徴は?呼び方は?

文部科学省の調査によると、近年発達障害の子供が年々増えているようです。発達障害にはいくつかの種類に分かれており、その中の一つが知的障害となります。発達障害と一括りにせずに、知的障害とはどのような特徴を持つのかを押さえることは重要です。障害の程度によって日常生活への影響度合いも違ってきます。

 

 

 

発達障害には複数の種類があり知的障害はその一つであることを理解する

 

発達障害は、発達障害者支援法において、次のように定義されています。

『「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの』

(※1)

このように、複数の障害に分類されています。中でも代表的なものだとADHD、ASD、SLDなどが挙げられます。

 

ADHDは多動性障害のことを指し、年齢や発達に不相応に不注意や衝動性、多動性があることを特徴としています。(注意欠陥多動性障害)

(※2)

ASDは自閉症やアスペルガー症候群とも呼ばれ、社会的なコミュニケーションや他人とのやりとりが上手くできないこと、興味や活動が偏るといった特徴を持っています。(自閉症スペクトラム障害)

(※3)

SLDは学習に関する障害で、字、理解、綴字、書字、数概念・計算、数学的推論のうちのひとつ以上の分野で困難が生じる特徴を持っています。(限局性学習症/限局性学習障害

(※4)

このように発達障害と一言に言っても、複数の捉え方があります。

 

一方で知的障害は精神遅滞とも呼ばれ、知的な発達が遅れることが特徴となります。知能指数(IQ)で測られる知的能力の発達と、社会生活に適応する能力である適応能力の両方の状態から判断されます。

 

発達障害の内の一つが知的障害であるため、それぞれの障害は区別して考えるべきでしょう。

 

引用:

※1文部科学省「発達障害者支援法」

※2NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「ADHD(多動性症候群)」

※3NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)とは

※4NPO法人らんふぁんぷらざ「発達障害とは」

 

知的障害の原因は特定できないことも多いがいくつかは解明されている

 

知的障害の原因は、全てが判明しているわけではなく、特定できないことが多いとされています。しかしながら、いくつかわかっている原因もあります。

 

一つ目は病理的要因です。先天性の疾患や出産時の事故などが原因で起こります。ダウン症候群などの染色体異常によることや、脳機能の先天性疾患である自閉症スペクトラム障害、出産時の酸素不足や脳への圧迫事故、生後の高熱による後遺症など様々なことが挙げられます。

 

二つ目は生理的要因です。病理的要因となる疾患はないものの、知能指数がたまたま低く、IQが知的障害とみなされる範囲に入っている場合がこれに当たります。合併症はないことが多く、知的障害の大半はこの理由から起こっているという見方があります。

 

三つ目は環境要因です。脳が発達する乳幼児期に両親による虐待や、育児放棄などがあると脳の発達が遅れて知的障害になると言われています。

 

このように判明している原因だけでも複数が挙げられますが、遺伝的要因というのが原因とは考えられてはいません。このことから両親が知的障碍者のために子供が知的障碍者になる、ということは今のところはないものとされています。

 

引用:LITALICO(りたりこ)仕事ナビ「大人の知的障害とは?軽度から最重度までの特徴、原因や遺伝との関係、利用できる支援について解説します。」

 

 

知的障害は知能指数の程度によって症状が変わり4つの段階に分類される

 

知的障害はアメリカ精神医学会の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」によれば、知的障害は4つに分類されます。

 

軽度は知能指数が50~69で、理論上は知的障碍者の8割がこのカテゴリーに当てはまるとされています。暗算やおつりの計算、文章の読み書きや計画を立てることなどが苦手である場合が多く、本人や周囲共に障害の認識がない状態で生活していることが多いため、認定数は理論上よりも少なくなります。

 

中程度は知能指数が35~49で、学習機能が成人しても小学校程度の水準に留まることが多いとされています。複雑な社会的判断や意思決定、人生の岐路に立つような重要な決断時には支援が必要になります。支援があれば自立して仕事をすることは可能です。

 

重度は知能指数が20~34で、書かれている言葉や数量、時間や金銭の概念を理解できず、生涯通して生活全般を支援が必要となることが多く、自閉症などの合併症を伴うことが多く見られます。

 

最重度は知能指数が19以下で、会話や身振りなどを使ったコミュニケーションが限られた範囲であれば可能です。重度同様、合併症を伴うことが多くあります。

 

引用:LITALICO(りたりこ)仕事ナビ「大人の知的障害とは?軽度から最重度までの特徴、原因や遺伝との関係、利用できる支援について解説します。」

 

 

まとめ

紹介した通り、知的障害と発達障害とはくくり方のレベルが違うため、同じ障害ではありません。

 

また、知的障害の中でも程度により生活への影響が変わってきます。しかし、発達障害の中でも自閉症など知的障害と区別しにくい障害があり、知的障害と明確に判断することは難しいパターンがあります。また、認知度や世の中の情勢により呼び方が変わることが十分に考えられます。

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